16.トロイメライ
作詞:笑人
作曲:笑人
搖れた、窗樺がきりとる灼けた視界。
四角い景色が連れてきた過去の自分。
ただ色褪せゆく追憶に、
今足りないものを拾った
痛いくらいに降り頻く太陽の棘。
見上げては手を透かした。
鈍色に輝いた剎の季節に、
潤み色の熱は消えた。
あのとき、無馱に背伸びをする
自分がいた。
「あと幾とせの夏を越せば
大人になれる?」と指を折った。
「真上から見下ろせばすべてが見える、
噓や醜さもすべて。」
太陽がそう語るように思えた。
幼さが可笑しく、笑った。
真晝の月が耳元でそっと囁いた。
この瞬間、今は二度も訪れてくれないと。
大切なこと、大事なもの、
拾い集めて、今を生きる。
五月蠅すぎる蟬の音さえも遠くにかすむ。
あの日には戾れない。
わかり切ったそんなことすらも
息を吹き返す夜。
痛いくらいに降り頻く太陽の棘。
見上げては手を透かした。
鈍色に輝いた剎の季節に、
潤み色の熱は消えた。
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